災害時にどうすれば良いのか・1

今まで書いてきた中で、すっかり頭の中から抜けていたことがありました。

それは、災害時に広汎性発達障害の人たちに対して、どう支援すれば良いかということです。幸い、アスペ子は東日本大震災の時は停電で苦労しただけなので、実際の現場がどのように対応していたかはわかりません。

今回はアスペ子が調べられた範囲で災害時に広汎性発達障害の人たちに対してどのように接すればよいのかを書いてみたいと思います。

 

災害時に対処することは大切なこと

平成23年3月11日に発生した東日本大震災および長野県北部地震などにより、多くの方が避難所での生活を強いられ、不安な日々を過ごされています。こうした中には、自閉症をはじめとする広汎性発達障害のある方も含まれ、生活環境の変化への対応が難しく、より困難で厳しい環境におかれています。

災害時要援護者対策

国は「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」(平成18年3月)により、 要援護者名簿の作成、要援護者の避難支援に関わる計画の策定等を市町村に促 してきました。しかし、東日本大震災では…

  • 情報伝達が不十分
  • 災害時要援護者名簿の有効活用ができなかった
  • 避難所、応急仮設住宅等がバリアフリー化されていなかった
  • 共同生活が困難な者に対応できない避難所が多かった
    (引用:平成24年版防災白書、内閣府)

そこで「災害時要援護者の避難支援に関する検討会」報告書素案、内閣府、平成25年1月においてガイドラインの見直しに向けて

  • 市町村は全体計画を作成し、連携体制を整備する
  • 地域の災害時要配慮者を事前に把握しておく
  • 避難行動要支援者※名簿を作成し、同意を得て支援者に提供する
  • 多様な手段を活用して通信手段を確保する

としました。

 

自助と共助を併せた協働が重要

地域でできること

  • 要配慮者や避難行動要支援者を視野に入れて、防災計画を立てる
  • 防災訓練で実際に機能するか点検する
  • 地域の施設整備も含めたネットワークづくりに継続的に取り組んでいく

安否確認

  • 避難行動要支援者名簿が活用でる
  • 学校や福祉サービス提供者との協力も有効

 

福祉避難所

寝たきりの高齢者、障害のある人、妊産婦など、一般の避難所で共同生活が 困難な人が安心して避難生活ができるように、市町村で指定を進めているものです。耐震やバリアフリーの構造を備え、介助員を置くことなどが条件で、老 人ホームや身体障害者療護施設が多く指定されています。

しかし福祉避難所の数が不足し、支援に必要な人材や資機材(ベッド、車いす等) も十分ではありませんでした。さらに、障害者や妊産婦や乳幼児に配慮した福祉避難所はわずかでした。

改善策

  • 多様な被災者に配慮した避難所の整備
  • 福祉避難所の指定を進め、周知をはかること
  • 支援ができる要員の確保
  • 地域住民、ボランティア団体、民間団体等との連携体制づくり

自ら準備しておくこと

  • 薬や処方箋、特に飲み忘れの許されない薬は多めに
  • 食べられる非常食やふりかけなど ・避難生活での空いた時間を過ごすためのもの(お絵かき道具、本、携帯音楽プレイヤー、ゲーム、電池など)
  • サポートブックや「助けてカード」などの準備
  • 複数の場所へ分散して保管

避難所で準備してほしいこと

  • 画一的でない備蓄食料の工夫
  • 大きめの紙おむつの備蓄
  • 在宅生活を送る方への支援

 

ストレスによってあらわれる症状

初期

食料や住居の供給が不安定、家族の安否が分からず、社会的に不安定な時期 大きなストレスにさらされた時の基本症状は、不安と抑うつです。

子どもでは、退行現象(夜尿、まとわりつき、甘え、反抗)、睡眠障害(夜驚、悪夢)や落ち着かない、過敏、イライラする、怒りっぽくなる、おびえる(一人になることを極端 に嫌がる)、頭痛・腹痛、過呼吸などがストレス下でよくみられる変化です。

広汎性発達障害がある場合には、上記に加えて、いったんは消失していた広汎性発達障害による症状が再出現したり、より強くなったりします。

多動・衝動性が強くなり、落ち着きのなさや苛立ちが目立ち、周囲とトラブルになったりするかもしれません。

不注意症状が悪化し、ぼーっとしがちになり、必要な情報や物資を手に入れ損なったり紛失したりします。

こだわりがひどくなり、特定の食事や衣服しか受け付けなかったり、トイレや風呂に時間がかかったり、ルールが守れなかったり、など周囲からみるとわがままなようにみえます。

感覚過敏性が亢進し、思い通りにならないことも増え、パニックを起こしやすくなったり、独り言や常同行動が長く続くようになって、迷惑がられたりします。

 

中長期的

食料や住居が供給され、家族の安否が判明し、社会的に安定した時期の発達障害児・者では、不安状態が遷延したり、勉強・仕事や生活習慣などが今までのようにできなくなったりすることが多いようです。

一般に、下記のような症状が持続する場合、PTSDやうつ病などの精神疾患である可能性があります。

PTSD

外傷後ストレス反応(PTSD:再体験(恐怖体験を思い出したり夢をみたりしてしまう、今まさに体験しているかのようになる(フラッシュバック)、回避(恐怖体験に関連することを避けたり記憶を失う、感情がわかなくなるなど)覚醒レベルの上昇(睡眠障害、イライラ、落ち着きがなくなる、情緒不安定、集中困難など)といった症状が続く場合には心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性があり、専門的な治療が必要となります。

発達障害児・者の中には、もともと過去の嫌な出来事を再体験するという症状をもつ場合があ り、PTSDであることを見過ごす可能性があります。

うつ状態

うつ感情、興味や意欲の減少、無力感、苛立ちや怒り、集中力の低下、睡眠や食欲の変化などが続く場合はうつ状態と考えられ、専門機関での診断や治療が必要となります。

 

対処方法

初期

被災直後は、まず、本人に安全や安心を感じさせることが一番です。本人の安心の基盤は保護者や周囲の大人の安定です。安全や衣食住など、生活の基本要素が安定することが心のケアよりも先決です。

本人に保護者がついていてあげられるような配慮が必要です(配給に並ぶことの免除など)。保護者などが精神的・物理的余裕をもてるように周囲の理解や支援が大切です。

また、保護者がすぐに相談できるところがあると安心です。 本人が災害以前の習慣、活動を続けられるようにすること(被災前までの日課や 環境の復旧、お気に入りのグッズやテレビ番組・場所など)が安心につながります。

子どもや発達障害児・者は甘えながら不安やつらさを克服しようとします。 これからの見通しや予想される心身の変化について適切な情報を伝え、指示は明確に伝えるようにします。可能な限り呈示できるものは呈示して、将来への見通しをもつことができるようにすることが安心や生活の安定につながります。

中長期的

まずは生活を安定させ安全な環境を確保することが大切です。

しかし、いつまでも症状が続いたり、だんだんひどくなる場合には専門家に相談しましょう。症状が現 れたのは被災が原因とわかれば、何年経っていても治療ができます。

心の回復のスピードは人によってさまざまであることを念頭に、長い目で見守ってあげることが 必要です。

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発達障害とその支援

Posted by アスペ子